家族以外の人に財産を遺したいです
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70代の方からのご相談
家族以外にとてもお世話になった人がいます。
その人に対して、どのくらいまでなら、財産を遺してあげることができるのでしょうか?
【回答】行政書士さいとうあきこの見解
お世話になった人に何かの形でお礼がしたい、感謝の気持ちを相続の形で表したいと思われているのですね。
一般的にもたとえば、
- 病気のとき手厚い介護をしてくれたヘルパーさん
- 何かと気にかけてくれる近所の人
- 自分のことを大切にしてくれる息子のお嫁さん
などのように、身近でお世話になった人に対して、相続のときに財産を譲ってあげたいと思われている方は多くいらっしゃいます。
しかしこれらの人は、言ってみれば他人であり法律上の相続人ではないので、本来は何も相続する権利はありません。
そのように、相続する権利がない人に対して財産を譲りたいときは、遺言書を作成して、そのお世話になった人に財産を遺す旨を書いておくことが必要になります。
遺言書を作成することで、法律の規定とは異なった割合で財産をわけることができ、あなたのご意思を実現させることが可能になるのです。
なお、遺言書に書かれた相続財産の分け方は、法律に定める分け方に優先しますので、その点はご安心ください。
ただし、この場合で問題となることがあります。
それは、「お世話になった人にどれくらいまで財産を遺してあげられるのか」です。
まず、極端な話ですが、ご家族の遺留分(最低でももらえる相続分)さえ確保しておけば、残りは全てお世話になった方に財産を譲ることも法的に可能ではあります。
しかし、いくら法的に可能とはいえ、本来の相続人ではない人に多くの財産を譲るのは現実的ではないことが多いでしょうから、ご家族との感情的な不満を残さないようにするためにも、財産の配分について十分検討されると良いでしょう。
次に、財産の譲り方についてですが、例えば「現金○○円」「株式○○」「自動車○○」などのように、譲る財産の内容を具体的に示してあげることが大切です。
一方、「全財産の10分の1」など割合で示すことはおすすめできません。
なぜなら、不動産など現物を割れない財産がある場合、ご家族とお世話になった人とで財産を共有せざるを得なくなるからです。
そうなると、遺産分割協議が必要となり、その結果、無用な争いの原因を作ることにもなりかねません。
その他、ご家族との感情的な不満を残さないようにするためには、遺言書の中に、「どうしてその人に財産を譲りたいと思ったのか」を書き添えて、理由を明確に伝えることをおすすめします。
その一文により、ご家族はあなたのメッセージを受け取り、あなたの思いを理解することが可能になるからです。
問題は解決しましたか?
上記の内容では解決しない場合や、「私の場合どうなるの?」と疑問をお持ちの場合は、対面相談にてご事情を詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
今お抱えのお悩みを解決し、安心できる未来を作れますよう、一生懸命考えてまいります。